無気力系天才テニスプレーヤー、ニック・キリオスをすこれ

ニック・キリオス(Nick Kyrgios)という男がいる。オーストラリア出身の屈強なガタイをしたプロテニスプレーヤーだ。そこらへんのモヤシ小僧や穢多非人の私相手なら、ワンパンどころかオーラだけで吹き飛ばせるパワーと威圧感。

 

無気力系天才テニスプレーヤー、ニック・キリオスをすこれ

Miami Open 2019 Round 3 vs Dušan Lajović

 

このニック・キリオスは、テニス界随一の "悪童" として知られており、対戦相手に暴言を吐くわ審判に不服を申し立てるわ観客にキレるわラケットブン投げるわ破壊するわジャッジやブーイングに不貞腐れて試合放棄の無気力舐めプするわで、ありとあらゆる分野でスポーツマンシップを損ねている。そのため、不名誉にも炎上と罰金ペナルティはお手の物。炎上系プロテニスプレイヤーだ。

 

仮に、彼が日本で名を馳せる日がやってきたとしても、ほとんどファンが付かないことは想像に難くない。誰もが『スポーツマン失格だ』『道具に当たるヤツはダメ』と批判し、匙を投げるはずだ。イチローのような立派なお手本を目撃してしまっている我々は、行儀の伴っていないスポーツマンを人一倍に好まない。

 

 

と、ここまで読んで『なんやこいつ、ついにスポーツ選手にまで文句垂れるんか』と思われてしまったはずだが、私は彼のことを悪い意味で紹介するつもりなど毛頭ないし、それどころか私は彼の...何と言うか、『ファン』と名乗ると本物のファンたちに失礼が生じるため、とりあえずは "好意を持ったウォッチャー" とでも自称したい。

 

そして、好ましくない方法で話題提起したことを謝罪する。まことに申し訳ない。

 

 

プロフィール

フルネーム:ニコラス・ヒルミー・キリオス

出身:オーストラリア・キャンベラ

生年月日:1995年4月27日 (2019年現在 - 24歳)

身長:193cm

体重:94kg

利き手:右

バックハンド:両手打ち

ラケット:YONEXのフェースサイズ98インチモデルを代々使用

 

世界ランキング:最高13位, 現在34位

公式大会優勝数:5回(日本での優勝経験もあり)

 

彼のポリシーなのかはわからないが、足元(靴か靴下)へしばしばネオンカラーを取り入れるという特徴がある。

 

 

【主なやらかしトラブル】
  • 審判へ暴言を吐く
  • 観客と口論する、暴言を吐く
  • 卑猥な言葉で罰金ペナルティを受ける
  • 観客にラケットを投げる
  • ブーイングに反抗する
  • ラケットを叩きつけて破壊する(最も多いときは9秒間で3本破壊)
  • 観客にブチ切れてベンチをコートにブン投げ失格
  • 不貞腐れて無気力プレー、試合放棄
  • 劣勢優勢かかわらず舐めプ
  • ツイッターで他の選手と喧嘩
  • オリンピック運営から注意を受けて反抗する
  • 同国の水泳界の英雄から苦言を呈される
  • 実力のわりに人気や存在感のないことで知られる某トッププレイヤー*1について、『彼は大人気だ』と皮肉を述べる
  • 女子テニス界の有名選手から『哀れだ』と批判される
  • 対戦中、対戦相手へ『俺の友達がお前の彼女と寝たぞ』とつぶやき、試合後のインタビューでも挑発するような発言を行う
  • 意表を突く目的で、暗黙の了解でNG(邪道)とされているアンダーサーブを突如繰り出し、観客と相手選手含めて会場全体の顰蹙を買う。また、格下のみならず、影響力の大きいラファエル・ナダル相手ですら使用。

 

等々あり、あとはトラブル以外にも

 

  • 大会をキャンセルして趣味のバスケ大会へ行く。ぶっちゃけテニスよりバスケの方が好きらしい
  • 試合前にウォーミングアップをせず、ビデオゲームで遊ぶ
  • 走るのが嫌い
  • トッププロでほぼ唯一コーチを付けていない
  • テニスよりもポケモンGO

 

などといったホット(?)な小話がある。

 

 

無気力系実力者キリオス

キリオスは基本的にやる気が無い。格上の場合は本気を出すことも多いが、格下相手ではかなりの割合で舐めたり手心を加えている。『ザコ相手には燃えない』タイプなのだろう。

 

彼は無気力プレーや舐めプ、パフォーマンス重視の派手なショット(回転ショットや股抜きショット)をしばしば披露しているため、プロとしてあるまじき程に勝利に貪欲ではなく、実力以上に勝ちを掴むことが少ないが、一度本気を出せば破格のパフォーマンスを発揮する。

 

そう論ずる根拠の一つとして、彼は今年3月のメキシコの大会(ATP500)において、自分より格上である選手たちを次々となぎ倒した上で優勝を飾っていて、そのうちの2名はトップ10に君臨しているアレキサンダー・ズベレフとラファエル・ナダルだった。つまり、ランキング的に言えば、まったく優勝候補でないキリオスが大番狂わせをして優勝してしまった形になる。

 

彼の現在の世界ランキングは30番代(自己最高は13)。そこまで突出した順位ではないものの、実際のランキング以上のポテンシャルを秘めていることは確かであり、テニス界のレジェンドであるフェデラーも彼を褒めている。

 

彼の舐めプや諸々で落とした試合を考慮した場合、彼の実力と順位は乖離していると言って間違いないだろう。彼の順位は過小評価された数値だ。

 

オタクチックな例えで彼を表現するならば、"周囲にまったく強いと思われていなかったのに、本気を出せば実は超絶強い系ラノベ主人公" だ。普段はそのパワーを隠して(セーブして)いる。

 

やる気が無いときは格下にすら当然のように負ける割に、本気を出せば格上だろうと粉砕する男、それがニック・キリオス。この脳あり鷹さんは爪を隠しすぎである。

 

 

彼の強みとしては、まず長身から繰り出される爆速サーブ。ややオープン気味のスタンスから、低めのトスと少ない予備動作でコンパクトに打ち下ろしてくる。また、ストロークの際もドライブ回転のかかった強烈なショットを放ち、バックハンドは威力こそ欠けるものの打ち分けが上手い。その上、彼はタッチフィールにも長けていて、錦織やジョコビッチのようなストローク中にドロップを仕掛けてからのネットプレーもお手のもの。

 

彼のプレイスタイルに対する世間一般的な評価は正直存じていないが、私は彼のことをパワーとテクニックを併せ持った隙の無い選手だと思っている。錦織にパワーを上乗せしたタイプのような...。まぁ錦織の方が戦績は上なのだが。

 

 

白人至上主義界のプロテニス界に嫌気が差しているキリオス

プロテニス界は白人文化圏発祥の上にプロ選手も白人選手が多く、そのせいかプロテニス会には白人至上主義が蔓延しており、観客は基本的に白人選手に肩入れする。そのため、黒人やアジア人は基本的にアウェー状態だ。

 

そして上記のような冷遇は、アジアと結びつきの強いオーストラリア出身のキリオスとて例外ではない。キリオスらオーストラリア人選手も、各地の大会で観客からアウェー的な声援を浴びている。

 

そうした背景から、彼は白人に肩入れする風潮にしばしばブチ切れており、

 

『偏りまくった目で見やがって。みんな分かっているんだ。このスポーツが偏見まみれだってな。他にも隠しておきたいことはあるかい?終わってる。本当に終わってる』

 

などというコメントを残している。

 

また、彼は観客から差別発言やいちゃもんを付けられたり、その他のバッドマナーを受けて "から" 試合を放棄することが多い。

 

 

思うに、彼は白人至上主義であるテニス界へ一石を投じるまでとはいかないものの、少なくとも抗っているように見える。自分が差別を受けてきたからこそ、その反骨精神が培われたのだろう。

 

彼の試合放棄は、白人至上主義へ対する彼なりの抗議とボイコットなのかもしれない。

 

錦織をリスペクトしているキリオス

悪童として知られ、相手選手に対するリスペクトが欠如していると度々指摘されるキリオスだが、彼は決して他人を虚仮にしているわけでも、理由もなく癇癪を起こすような幼稚な人間でもない。

 

例えば、彼は錦織を敬っていることで知られており、錦織を讃えるコメントを度々口にしていて、その上で実際に仲が良いらしく、テレビでそのことが紹介されていた。

 

キリオスを錦織を敬うようになったきっかけは、人種差別と素行不良によって練習相手がなかなか見つからなかったキリオスに、錦織が声をかけて練習に誘ったからなのだとか。同じ人種差別を受けるアジア・オセアニア圏の者同士で、共にシンパシーを感じているのかもしれない。余談だが両者の対戦成績は錦織が3勝0敗で上である。

 

 

また、彼は楽天オープンで日本に来日したことがあり、その際、日本のファンに対して気さくな対応をしていたと言われている。このことなどから、差別をしない人たちに対しては彼も良い対応をすることがわかる。彼が悪童と言われ、そう言われるに足るだけの行為をしてしまうのは、不快な言葉を浴びせられているからに過ぎない。彼自体は至ってまともな人間性を有した選手なのである。ただ煽り耐性が少し低いだけだ。

 

ちなみにキリオスの姉は日本で働いているそうだ。

 

 

果たしてキリオスは丸くなるだろうか

もしも彼が丸くなって素行不良をやめる日がやってくるとするならば、彼の過小評価されている順位が実際の実力に見合った数値に反映されていくのだろうが、果たしてそんな日はやってくるのだろうか。

 

彼が白人至上主義への抵抗を諦めるのが先か、人々の差別意識が無くなっていくのが先か、それとも変化が生ずる前に選手生命を終えていくのか。

 

いや、きっと彼が丸くなる日はやって来ないような気がするし、私としてはブチギレも含めてキリオスという選手の魅力だと思っているため、彼の魅力を損なわないままで更なる躍進を遂げることを願っている。

 

ブチ切れ系最強プレイヤー、ニック・キリオスの名が、広く世界に轟く日はそう遠くないのかもしれない。 

*1:通称:空気さん