"電車・鉄道好き" という属性がスティグマと化す令和元年

 

ずっと前から、『(撮り鉄など含めて)電車好きにはアレな人が多い』という偏見が社会にあったと思うんだけど、いつごろか実際に『電車が好きな人の各種障害率が高い』という傾向を、客観的根拠とともに論じられて以来、電車好きという属性は一種のスティグマ(負の烙印)になっている節がある。

 

最近においては、振る舞いが怪しい人に『君電車とか好きでしょ?』と尋ねる人まで現れているらしく、また、『くさそう』系の雑なレッテル貼り侮辱ネットスラング*1のリストに、『電車とか好きそう』というセリフが新たに加えられてしまった。

 

"電車好き=何らかの障害持ち" であると、条件反射でレッテルを貼る人が増え、憚ることなく侮蔑している人が少なくないように見受けられる。

 

 

確かに、かねてより撮り鉄などのマナーの悪さ(場を読む力)についてはしばしば指摘されていて、ひどいケースでは駅員の警告を無視して撮影を行い、怒号のトラブルに発展していたこともある。また、最近の撮り鉄による一般通行車へのブチ切れ案件などを見ていると、世間から顰蹙を買うのも無理はないと思ってしまう。

 

 

1990年代、2000年代にオタクが背負っていたスティグマを、昨今では電車・鉄道好きが背負いつつあるように思う。その理由の背景として、相対的にオタクの市民権が上昇したことが挙げられるだろう。

 

宮崎勤が幼女連続殺人をやらかした直後から(1990年頃~)は、オタクに対する世間の偏見は凄まじかったと思われるが、この令和直前においては、オタクに対する露骨なヘイトや差別・ネガキャンもあまり見かけなくなった。表立ってそれをしているのは某エビの団体くらいのものか。

 

今では10年前に行われていたような、マスメディアによるオタク叩きも鳴りを潜めている。だからこそスティグマがあちらに移ってしまうのだろう。

 

 

なぜ発達障害は鉄道を好むとされるのか

見聞きした話をそのままコピペするだけになるが、発達障害や自閉症の人は法則性・規則性のあるものを好むとされている(自閉症の人は予定外の物事が苦手)。ゆえに、ダイヤ通りほぼ正確に運行され、規定のコールサインがあり、なおかつ男の子がロマンを抱きやすい "乗り物属性" である電車や新幹線に憧れを抱くのだそうだ。

 

『なら別にバスでも良くない?』と思いそうになるが、やはり鉄道の方が速く、規模が大きく、そしてかっこよく映るのだと思う。とは言え、私は当事者から直接それらの言質を得たわけではないため、結局全てがエアプなんだけども。

 

ともかく、詳しく調べてみたい方は、『鉄道好き 発達障害』などで検索してみると良いと思う。

 

 

恒常的な差別に発展するか否か

言うまでもなく、ストレス社会はガス抜きをするための叩きやすい相手っていうのを常に求めているわけだけれど、今後の鉄道好きたちの動きによっては、 "鉄道好き差別" などといったものが社会的に蔓延しないとも限らない。

 

最近起きた例の、『遠距離から桜+鉄道でシャッターチャンスを狙ってたら一般車が通りかかってブチ切れた』(ご存じない方ごめん)。あのような感じの世間的な顰蹙事案が頻発するようになれば、今後のガス抜きの矛先は彼らに向いてしまうかもしれない。実際問題ここ2年くらいで、撮り鉄などを叩いている人が以前にも増して現れているように思えるし、まとめサイトなどもしばしばバッシング方向へ煽ってPVを稼いでいる。

 

 

彼らの振る舞い如何によっては、社会的差別記号のジャンルがまたひとつ増えるのではないかという不穏な予感を抱いていて、『団地の子と遊んではいけません』同様に、『電車好きの子と遊んではいけません』といったような教育がなされるケースだってあり得る。

 

電車が好きと知れたら、十把一絡げで障害者認定され、嘲笑を受ける───有無を言わせず勝手に白黒付けられると考えたら、結構優しくない世界になるだろう。かつて、"オタク=犯罪者予備軍" と一緒くたに危険視されていた構図を、そのまま転用されてしまうような形となるわけだ。

 

差別にうるさいこのご時世に新たな差別が生まれるかどうかは、今後の彼ら次第である。周囲の顰蹙を買う迷惑なトラブル───それさえ起こさなければ、残念な結末を迎えることはないだろう。

 

 

余談になるが、度重なる異臭事件などの影響により、現状ではカードゲーマーの名誉も結構怪しくて、そのうち電車好きと同列に語られそうな気はしている。『カードゲームとか好きそう』と。

 

カードゲームとか好きそう


最近は発達障害ブームと言われていることに乗じて、趣味嗜好による障害レッテル貼りが横行しているように見受けられる。障害者認定のハードル低下によって、いずれは多種多様な性質が十把一絡げにその認定を受けることになるのだろう。ゆえに、スティグマ扱いを受けた特定の趣味嗜好を、他人に隠し通した方が良いことになる。

 

 

かつての禁教令施行下でキリスト教信仰を隠匿していた信者のように、発達障害認定ブーム流行下では、多くの人が自身の趣味嗜好を隠し通すようになるのではないだろうか。さて、今後どこまでのラインが障害者呼ばわりされていくのか、新時代令和の動向に注目していきたい。

*1:ネットスラングなのかはよくわからない