アンダーマイニング効果【銭のために動いたらもう引き返せない】

アンダーマイニング効果

 

ここ最近、YouTubeにて、特定のジャンルの動画収益が無効化されるという出来事があった。対象は主に、大喜利文字動画やゆっくり実況などである。

 

 

 

それに際し、収益を取り消された動画投稿者の多くがどういったアクションをとったかと言うと、彼らの大部分は動画投稿から手を引いた。要は引退した。

 

すると当然以下のような批判が集まる。

 

  • 『金にならないとやめるのか』
  • 『金目当てだったのかよ』
  • 『ファンのことなんかどうでもいいんだな』
  • 『趣味でやっている人を見倣うべきだ』

 

 

以前、"〇ブ" というゲーム実況者の収益が一時的に無効化されるという事案が発生し、その際に彼は躊躇なく引退を宣言した。そして、言うまでもなく金目当てであることの批判が集まった。

 

リスナーからすれば、自分の好いている投稿者が軽々しく金に靡き、報酬の有無で活動の是非を決定する現金な人間性を有している知って、失望を隠せなかったのだろう。『趣味(無償)でやっているストイックな人も大勢いるのに』───という、理想の押し付けが発生するのは仕方がないとも言える。

 

 

彼ら動画投稿者の多くが、金目当てで活動を続けていることはまず疑いようのない事実だと思うし、その多くは金銭が絡まなければすぐさま辞めてしまうだろう。結局はその程度の愛着なのである。

 

しかし、最初から収益化目的で参入したクリエイターならともかく、彼らの一部は、収益化に手を出す以前は純粋な趣味として動画を投稿していた人もいたはずだ。

 

だが、そんな人たちも、収益化を無効化されるや否や辞めていく。趣味としてやっていた頃のように無償ではやらなくなり、『お金が絡まなくても続けます』という信念を見せてくれる者はほどんどいない。

 

では彼らの本質とは、金に目が眩んだ拝金主義者なのだろうか。彼らは本質的にそういう人間で、お金を第一に動くような現金な性癖を有していたのだろうか。

 

ここにひとつのカラクリがある。

 

 

アンダーマイニング効果

彼らに作用している心理現象を、『アンダーマイニング効果』という。

 

アンダーマイニング効果とは、自身の自己顕示欲や承認欲求(内的動機)に起因して取り組んでいた物事へお金が絡むようになると、やる気がなくなってしまうという心理現象のことを指す。また、一度絡んだ報酬が取り下げられると、元の内的動機すら喪失してしまう。

 

つまり、金品に対する欲求が元々の動機すらもかき消し、一度対価として発生し続けた報酬が取り下げられると、元々の動機もろともやる気を無くしてしまい、結果としてそれをやめてしまう。ニュアンスは異なるが、"金に目が眩む" という表現をして差し支えないだろう。

 

 

【例1】

子供が善意で自発的に親の家事を手伝う

報酬として親が子供にお小遣いをあげる

お小遣いをあげている間は手伝い続ける

親がお小遣いをあげなくなる

手伝わなくなる

 

【例2】

『人の役に立ちたい』と思って見返りを求めないボランティアを始める

その気は無かったが報酬が出るようになる

やる気がなくなる。あるいは報酬が出ないとやらなくなる

 

【例3】

趣味でブログを始める

ついでで広告を入れてお小遣い稼ぎを始めてみる

お金が手に入る

広告が取り消されたり、収益が振るわなくなる

やる気がなくなり、趣味として続けることに抵抗を感じるようになる

 

 

つまり先の動画投稿者たちの引退にも、このアンダーマイニング効果が作用していて、趣味でやっていた頃には戻れなくなってしまっている人が大勢いると考えられる。一度お金が絡んでしまったが最後、以降はお金無しでは続けられないのだ。

 

したがって、他人に何らかのアクションを要請する場合においても、安易に金品を対価とするべきではないと私は考える。それが本人のモチベーションを削いでしまうケースも往々にして発生するからだ。子供の勉強などがまさにそれである。

 

 

もちろん、明らかに対価を支払わなければならない状況───支払って然るべきであれば話は別だが、本人が自身の内的動機で以って取り組んでいるものには、お金をチラつかせない方が良いこともある。下手に介入すればむしろマイナスだ。

 

また、『自分が好きでやっていることへ、一度でもお金が絡んだからもう戻れない』という覚悟を持っておいた方が良い。その後に対価が消失すれば、もはやそれを好いてはいられなくなるかもしれない。

 

今現在、『自分の趣味をお金のために生かせないだろうか』と考えている人は、今一度よく考えた方が良いだろう。純粋な趣味としてのそれに戻れなくなる可能性は十二分にある。

 

 

私は一度このブログ(厳密には1つ前の)へ広告を入れていたものの、今はこうして広告無しへ戻ってこれた。しかし万一、収益の額が大きくなっていたら、100%お金を動機として書くようになっていたかもしれない。仮にそうなっていたとすれば、もはや趣味としてブログを続けてはいられなかっただろう。小銭のために書くブログはきっと辛い。そして小銭すら発生しないとやる気が無くなる。

 

 

お金がヤツを狂わせた

以下はアンダーマイニング効果が適用されるのかどうかわからないが、対人関係においてもこの心理作用は見られるのではないだろうか。

 

例えば、よしみにしてくれる他人へお金をあげたとして、すると金の切れ目が縁の切れ目になるかもしれない。人に好かれたくてホイホイ金銭を恵む行為はよく考えた方が良いだろう。あなたとの交際の理由は、そのモノのためになる可能性がある上に、お金が絡まなくなれば切り捨てられるかもしれない。

 

 

ある行為へ金品を報酬付けすることは、実は思っている以上に危険なことでもある。

 

報酬に根本的なモチベーションを削がれないように、そして意図せず他人の意欲を阻害しないように、私たちは気を付けなくてはならない。

 

 

他人を蹴落とせるかもしれない方法

見方を変えれば、このアンダーマイニング効果は悪用が利くということになる。

 

やり方は簡単、善意を装ってチマチマと報酬を与え続けて(バイアスをかけて)から、ある日それをパッタリ断てばいい。すると相手のモチベーションはみるみるうちに削がれていくはずだ。あくどいなぁ...。

 

 

というわけで、私を篭絡してブログやめさせたいやつ、至急、アマギフくれや。