SNSにおける魔性のいいねと批判に溺れる人たち

SNSにおける魔性のいいねと批判に溺れる人たち

 

心理学には "返報性の法則" というものがあり、人は何か貰ったら返したくなる心理が働きます。

 

SNSにおけるいいね機能は、まさにその返報性の法則と見栄を張りたい気持ちを上手に利用しており、周囲から人気があると思われたければ日常的に周囲にいいねを付けて回るように仕組まれています。

 

何もしなくてもいいねがもらえる有名人ならともかく、そうではない一般ユーザーが多くのいいねを貰うためには、よほど上手いことを言うか、はたまた周りにいいねを付けまくって貸しを作る必要があります。

From 元SNS廃人がTwitter疲れの対策を12項目で紹介する - ぐっぱいずリーフ

 

 

黎明期のSNSは現在の主力SNS(インスタやツイッター等)とは異なり、"個人 to 個人" あるいは "個人 to 少数の身内" という枠組みの中で承認欲求を満たすよう設計されたクローズド指向のサービスだった。また、文字と文字との直接的なコミュニケーションを行うことがもっぱらで、それ以外に承認欲求を満たす術はあまり多くなかった。

 

ところが、SNSがよりオープンなネットワークとなるに連れて、直接的なコミュニケーションを以って承認欲求を満たすやり方はあまり好まれなくなり、ある別のメソッド(機能)を用いて承認欲求や自己顕示欲を満足させるようになった。

 

その機能とは、今やどのソーシャルにも設けられている "いいね機能" である。いいね機能の台頭は人々のSNSの使い方を大きく変えた。

 

いいね機能の標準化によって、人は他者と言葉を交わして承認欲求を満たすよりも、より多くのいいねを貰うことに満足を見出すようになった。そちらの方が手軽で、対人間で発生するストレスもかかりにくく、何よりいいねは数値として可視化することができる。言葉という見えないものを介して得る承認以上に、いいねというこちらへ向けられた好感や発言の巧拙を可視化させてくれる機能は革新的だったと言える。

 

いいね機能はソーシャルの中でも承認欲求とベストマッチしたシステムであり、そして最も中毒性がある。だからこそ『いいね中毒』などといった言葉が存在するのだろう。いいねのドツボに嵌ったSNS承認ジャンキーは大勢いる。

 

 

ポジティブよりもハードルの低いネガティブ発言

ポジティブよりもハードルの低いネガティブ発言

 

いいねシステムが多くのサービスへ波及して以来、ユーザーはいいねを貰うべく各々の発言内容を吟味するようになり、より有益な発言、より的を射た発言、より面白い発言、より拡散されやすい内容を発信するようになった。そうすることによって、より多くのいいねを貰うことができるから。

 

しかしながら、すべてのユーザーが良いことを口にしていいねが貰えるわけではない。人間は得てしてポジティブな内容よりもネガティブな発言の方に反応しやすいため(ソースは "Our Brain's Negative Bias" [Psychology Today])、ポジティブで有益なポストというのは、バズらせたり注目を集めるハードルが高いことになる。

 

したがって、ポジティブまたは有益なポストでのバズは凡百のユーザーにはかなり難易度が高く、これに関しては概ねインフルエンサー専用の特権と言っても過言ではない。

 

 

では、良いことや有益なことを発信する才のない私のようなユーザーはいったい何をするだろうかと考えた場合、彼らは時事トラブルの野次馬に混ざって断罪したり、アンチの多い人へ他のアンチと一緒に粘着したり、立場の弱いコミュニティ(マイノリティ)を中傷し、同意や支持としてのいいねを得ようとし始める。

 

要は攻撃や批判、断罪や粘着行為を以って承認欲求を満たすのである。なぜならそれらは誰にでもできるから。

 

つまらない発言しかできない人であっても、世間の時事トラブルや悪人へもっともらしい正論をぶつけてしまえば、それだけでいくつかいいねを貰うことができる。よほどハードルが低い。

 

※フォロワー内に対するいいね営業という手法でもいいねを獲得することはできるが、それはあくまでお付き合い要素が強い上に手間がかかるという難点があるため、向き不向きが大きい

 

 

私はあるとき、炎上へ便乗して叩いているユーザーへ一通り目を通してみたことがあるのだが、ものの見事にフォロー数よりフォロワー数の少ないユーザー(フォロー >> フォロワー)ばかりだった。つまり、彼らはだいたいネームバリューが低く、そして目立つパワーに欠けているがためにいいねを貰えない人───憚らずに表現すれば "つまらない人たち" なのである。

 

いや、こんな漠然としたことを言っていても説得力に欠ける。ならば論より証拠で実際に確認してみよう。

 

今回の対象はあるトラブルで話題になった某若手絵師、彼女の謝罪に批判を浴びせているユーザーのステータスを確認してみようと思うが、現在200人を超える人物がリプライを送っているため、覗くのは上から50人までとしたい。そして、確認する対象をこちらが恣意的にチョイスしていると安易に疑うのであれば、実際にご自身で確認されることをお勧めする。

 

炎上 絵師

 

では見ていこう。

 

【フォロー / フォロワー / 捨て垢判定】*1

【1】393 - 380 - 一般

【2】206 - 209 - 一般

【3】552 - 556 - 一般

【4】179 - 39 - 一般

【5】61 - 7 - 捨て垢

【6】363 - 148 - 一般

【7】34 - 16 - 一般

【8】535 - 333 - 一般

【9】900 - 907 - 一般

【10】680 - 553 - 一般

【11】177 - 129 - 一般

【12】128 - 57 - 一般

【13】304 - 114 - 一般

【14】35 - 36 - 一般

【15】149 - 47 - 一般

【16】301 - 119 - 一般

【17】230 - 402 - 一般

【18】41 - 4 - Unknown

【19】36 - 16 - 一般

【20】834 - 638 - 一般

【21】94 - 49 - Unknown

【22】85 - 29 - Unknown

【23】0 - 0 - 捨て垢

【24】14 - 5 - 一般

【25】26 - 8 - 捨て垢

【26】1 - 2 - 捨て垢

【27】10 - 0 - 捨て垢

【28】5 - 1 - 捨て垢

【29】30 - 34 - 一般

【30】214 - 685 - 一般

【31】311 - 71 - 一般

【32】33 - 20 - 一般

【33】939 - 565 - 一般

【34】5,879 - 7,871 - 一般

【35】31 - 13 - Unknown

【36】631 - 134 - 一般

【37】47 - 12 - Unknown

【38】332 - 48 - 一般

【39】184 - 11 - Unknown

【40】44 -11 - Unknown

【41】724 - 237 - 一般

【42】60 - 17 - Unknown

【43】83 - 38 - Unknown

【44】767 - 112 - 一般

【45】383 - 298 - 一般

【46】382 - 106 - 一般

【47】389 - 239 - 一般

【48】1,060 - 17,700 - インフルエンサー

【49】80 - 9 - Unknown

【50】194 - 130 - 一般

 

御覧のとおり、アカウントにパワーのないユーザーが多くを占めている。(フォロー >> フォロワー なおかつFF自体も概ね少ない)

 

 

フォロワーが少ないということは、自分の発言が他者の目に触れる機会が少なく、要するにいいねを得にくいのだが、その問題は目立つ対象───例えば、ニュースメディアやインフルエンサーのポスト、あるいは炎上者へのポストへ自身のリプライをぶら下げることで解決できる。

 

注目されているポストは、そこを寄せられたリプライもついでに閲覧されることから、ただ自分のホームで漠然と投稿するよりもインプレッションを獲得しやすい。ゆえに彼らのような注目されないユーザーは、人目に付く場所へと自分のポストを引っ付ける。虎の威を借りるような行為ではあるが、確かに合理的だ。

 

 

彼らはまともな発言やありのままの自分で注目を集められず、いいねを貰うことができない。そうした背景があるため、彼らは他人を断罪する人たちに迎合し、そこでもっともらしい正論や悪口の大喜利を披露し、それによって同じ指向性を持つ者からいいねを獲得、やがてネガティブなコミュニティを形成する。

 

それらが彼に残された承認のあり方だった。

 

彼らは断じてネガティブなことしか考えていないのではない。彼らはネガティブなポストをすることでしかいいねやインプレッションを得られず、その他の真っ当な手段で承認欲求を満たすことができないがために、自分で自分の発言に縛りを設けているようなものだ。

 

したがって、その一部は承認のために自己の性格とは乖離した発言を口にしていると思われる。

 

 

批判行為こそが最も容易に承認を得られる 

先日のこと、私はツイッターであるユーザーを見つけた。そのユーザーは、固定ツイートに過去バズった中傷ツイートをぶら下げた初期アイコンユーザーだった。(捨て垢ではない)

 

そして、彼のその中傷ツイートがバズる以前は、そこまでネガティブな発言をしていなかったが、それ以降は過激でネガティブで攻撃的な発言ばかりを口にするようになっていることがわかった。

 

彼がバズったツイートを誇らしげに固定していることからも、彼が中傷ツイートのバズに味を占めてそちら側に傾いてしまったことがよくわかる。彼はネガティブな発言こそが最も容易に注目を集められると気が付いてしまい、バズといいね目当てでバカの一つ覚えを始めたのである。

 

このようなユーザーは決して少なくはない。いや、少なくないどころかかなり多い。一度、過激な発言で注目を得られることに気が付いてしまった者は、以降も継続して中傷や炎上へ参加するようになるし、場合によっては自身が叩かれる側に回ることもある。犯罪には該当しないソフトなバカッターだと思えばわかりやすいが、あえて周囲の顰蹙を買ったり不謹慎な発言をして注目を浴びたがる。彼らに残された自己顕示手段はそれしかないのだ。

 

それもそうなるはずだ。『ヒカキンが面白い』と言ったって、今日の夕飯の写真をアップしたって、普通の人はそんな投稿でまともにいいねを貰うことなどできない。クソみたいな投稿でもドバドバいいねを貰える有名人とは異なり、我々にはネームバリューが無いからだ。

 

だからこそ、センスのある人たちは、ユーモアの効いた投稿や自身の特別なスキル・知識から抽出した有益な投稿で以って、いいねおよびフォロワーを獲得していく。

 

 

そして、善く目立てない人たちは、悪意や敵意───場合によっては紛い物の正義で徒党を組み、承認欲求を満たすようになる。

 

と考えた場合、炎上や誹謗中傷(アンチ行為)をしている人物は、実際にはその対象へそれほど興味を持っていない場合も多いことになる。彼らにとって重要なのは、起こっている出来事や問題を起こした相手ではなく、『自身がそのトラブルに際してどれほど目立つ発言を呈すことができるのか(いいねや共感が得られるか)』なのである。

 

あくまで対象は目的ではなく、自己顕示の手段───踏み台でしかない。だから、結局相手が悪者なら何だっていい。空気的に正義や苦言をぶつけても良い相手なら何だって誰だってかまわないのだ。

 

 

炎上イナゴが最新のトラブルに怒ってはすぐ次へ、次のトラブルに怒ってはすぐ次へと、そうした忙しないルーティンを繰り返すのは、実際はそのトラブルに対して何ら問題視などしておらず、仰々しく危機感を口にする割には実は大して何とも思っていないし、当事者意識なんてものも持ち合わせてはいない。

 

彼らは、炎上バッシングへ参加していいねを集めることにしか興味がない。彼らにとっての炎上とは、正論と人格批判を発表するための大喜利イベント会場。いいねを貰いやすい期間限定のボーナスステージ。

 

このことから、いいね(注目および承認)を集めるために炎上まがいの騒動を意図して起こす者たちと、炎上を断罪することでいいねを集める者たちにおける両者の需要と供給は一致していると言っても過言ではない。とんだ茶番劇だが、win-winの優しい世界である。

 

 

このご時世は、およそ数日ごとのスパンで絶え間ない炎上を各所で繰り返しており、年がら年じゅう炎上と批判イベントが開催されているような状態だ。燃料には事欠かさない。

 

そして、彼らは次から次へとそのイベントに食いつき、批判を浴びせ、いいねをもらい、話題が過ぎ去るとすぐに次の炎上へと関心が移る。

 

最近のTwitterの色んなことに怒って忘れてを繰り返す空気が好きじゃないので、「忘れられて一ヶ月ぐらい経った話題」を自動で集めるBOTを作った。定期的に流れる「忘れた話題」を眺めると、新たな炎上ネタを見た時「俺これ一ヶ月後も覚えてるかな?」と冷静になれる気がする。

 

───@kenkawakenkenke

引用:https://twitter.com/kenkawakenkenke/status/1125220546034061314

 

炎上は忘れられていると言うより、そもそも覚えている必要が無いだけだ。すでに "使い終わったネタ" なのだから。 

 

なんだ、やっぱり炎上ってイナゴのお遊びじゃないか。大して興味もないくせに、さも興味があるかのように振る舞って、そして話題性が無くなるとすぐいなくなる。善人を気取っていようが、いざ蓋を開けてみればそんなものだ。

 

俗に呼ばれるファッション黙祷も同じことで、ファッション黙祷と揶揄されている人たちは、決してその被害者を悼んでいるのではなく、その事件事故を踏み台にして自己顕示しているに過ぎない。彼らが本当に心の底から追悼している人たちであるならば、仰々しく自分らが弔う姿をSNSにひけらかすような薄っぺらい真似はしないだろう。

 

そうした軽骨な心の内が見透かされているからこそ、『黙祷なう』などといった、SNSで死者を悼む行為を毛嫌いする人たちがいるのだと思う。『ファッション黙祷きっしょ』...と。

 

承認に目が眩んで軽々しく何かに飛び付くと、たちまち薄っぺらさが露呈しやすくなるが、ある程度それをカバーする技術も求められてくるのかもしれない。

 

 

まとめ

  • いいねはアルコールであり、二コチンでもあり、ドラッグでもある
  • 面白い発言や有益な発言で注目を浴びることは難しい。だからこそネガティブな発言が用いられるし、客観的事実としてネガティブ投稿は拡散されやすい
  • つまらない人はいいねが貰えないから、炎上という共通の時事ネタを共有しつつ、目立つ場所へ批判的な書き込みを行うことで人目を引こうとする
  • 批判が最も注目を集めやすい手段であることに気が付いた者は、たちまち批判一辺倒のユーザーへと偏る。あるいは先鋭化していく
  • 炎上に乗っかって叩いている人の中には、実際のところ、炎上そのものに対する興味や思い入れがまるで無い人も多い
  • 夢見りあむはすこれる炎上系クソザコメンタルアイドル

 

 

ところで、インスタグラムが群集心理の抑制のためにいいね機能の廃止を検討しているというニュースが流れていたが、ジャンキーからヤクを取り上げるような真似をしたら、ユーザーが忽ち減少してしまうような気がしてならない。それでもいいのかインスタ運営よ。

*1:捨て垢か否かは、浮上頻度やアカウント作成日時に対する合計ツイート数で主観的に判断