自動車学校は形式にとらわれずに、もっと実践的な知識も教えるべき

自動車学校は形式にとらわれずに、もっと実践的な知識を教えるべき

 

『車の運転は出来て当たり前』っていう風潮があって、免許の保有率や車の所持率を見てもそれは確かにその通りなんだろうけれど、その割には車を利用するにあたっての実践的なイロハや、その他必要事項に対する教育と周知が足りていないように思える。

 

 

例えば、しばしば入れ間違えトラブルが発生している燃料。

 

少なくとも私は教習所で『ディーゼルは軽油、軽や大体の普通車はレギュラー、大排気量の高級車はハイオクです』的なことを習った───油種の講習を受けた記憶がない。

 

まぁこれに関しては教習所次第なのかもわからないが、頻発する油種の入れ間違いを鑑みるに、自動車学校の教育が不十分ではないだろうか。そこのところをユーザーの自己学習と気付きに委ねているから、軽に軽油を入れる人が出てきたり、普通車だからという理由でディーゼルにレギュラーを入れたりする。

 

『いや、そんなこと常識でわかるでしょ』と思うのもやぶさかではないだろう。しかし、自分の常識は他人の常識ではない。車に興味のない人は、教わらないと本当に軽油=軽自動車だと思っていて、そのように誤解することは自体はたしかに世間知らずかもしれないけれど、間違うことは決して "おかしい" ことではないと思う。知る機会に恵まれなければ、ずっと知らないままになってしまうだろうし、軽自動車が軽油だと思っていてもそこまで不思議ではない。

 

 

その他のことに関しても教育不足がたくさんある。まず教習所はタイヤ交換についても教えないし、バック(縦列)駐車は『リアドアの三角窓にポールが見えたらハンドルを〇回回す』といった、その場でしか通用しない形だけの練習を行う。こんな茶番で実践的な技能が身に付くはずがない。学業のテストで答えだけを丸暗記して、実際の勉学として身についていないのと同じだ。

 

また、教習所はサンキューハザードについても教えないし、パッシングの示唆するものについても教えない。また、対向車に右折を譲る(促す)パッシングや夜間に前者の進路変更を譲るライトカットも、相手が知らなければ、こちらがいくら頑張ろうが意思疎通を試みようが伝わらない。

 

だから、情弱だったり人付き合いが少なくて情報を入手する機会に恵まれない人(気付きの少ない)は、いつまで経ってもそれらを認知できないことになるし、それ系の人がサンキュ―ハザードを見たら『何かトラブルか!?』と思うだろうし、サンキューホーン(クラクション)で喧嘩を売られたと勘違いするかもしれない。というか、サンキューホーンで実際に暴力沙汰に発展した事例がある。

 

近年話題の煽り運転にしてもそうだ。車やルールに無知で興味のないドライバーは平気で右車線を亀さん運転するし、煽り運転をされていても気が付かない。そもそも煽り運転自体を認知していない。だから、『なんで退かないんだテメェ!?』『追い越し車線トロトロ走んなカス💢』とトラブルに発展する。

 

 

グダグダと列挙してしまったが、とりあえず周知と教育がドライバーに委ねられている(暗黙の了解と化している)ものを以下に挙げてみたいと思う。

 

  • 油種と車種およびセルフガソリンスタンドの利用方法
  • ジャッキアップも含めたタイヤ交換
  • タイヤの適正空気圧と空気充填
  • パンク修理(応急処置)
  • 車の曇り止めのやり方
  • サンキューハザード・ホーン
  • ハンドルロックの解除方法
  • 右左折する際はマナーとしてレーンを維持する
  • ウインカーを出すときはブレーキングより先
  • 先どうぞのパッシング
  • 夜間のライトカット
  • 夜間で対向のいない林道などはハイビームがデフォ
  • 合流や脇道からの侵入は一台ずつ
  • 合流は停止線の有無でウインカーの左右を使い分ける
  • 高速は追い越したらすぐ左に戻る
  • 高速には覆面パトカーがいて、車種はほぼセダン
  • 車に付いた雪や氷を融雪させるためにお湯を用いてはいけない
  • 駐車場の出口入口
  • 林道などの細い一本道で対向車に出くわしたときのベストな対応
  • 道路の途中、対向が複数車線の場合の右折入場は交通量にも依るが迂回がベター(左折入庫 / 左折出庫)
  • 信号の前が詰まっていたら交差点へ進入せずに待つ
  • ネズミ捕りを対向に知らせるパッシング
  • 高速道の渋滞や工事(臨時片側交互通行)時の最後尾ハザード
  • バック駐車前のハザード
  • 駐車時のミラー折り畳み
  • 立体駐車場やロック式駐車場の利用方法

 

適当に思いついたところではこんなところか。

 

こうしたことは教習所で教えてくれないため、基本的には友人知人に知識を与えてもらうか、あるいは自分の経験を通して学習していく(またはネットで調べる)他ないが、必然的にペーパードライバーは上記の多くを知らないことになる。だから、大型連休ではこうした暗黙の了解が通用しないドライバーが発生するハメになるし、知識不足ゆえの初見殺しに遭遇してSAN値的 or 物理的に無事死亡する結末を迎える。

 

けれども、これらを一概にドライバー自身の無知や無学として糾弾するわけにもいかないだろう。自動車学校が教習の時点で教えてさえいれば、このような交通リテラシーの差は生まれない。ドライバー全てが各々勝手に学習する前提で話を進めるのは、少々酷な気がする。

 

自動車学校は、裏の裏をかくような意地悪な屁理屈じみたひっかけ問題や救護訓練、『リアドアの三角窓にポールが見えたらハンドルを〇回回す』などのあまり実践的でない講習を行っている暇があったら、YouTubeのドラレコ事故動画集を見せるなり、今回のような暗黙の了解を教えるなりをした方がよっぽどドライバーのためになると思うのだが、けっきょく自動車学校も型にはまったビジネスでしかないため、必要最低限の知識を形式的に教えることしかしない。

 

というかそもそも、自動車学校は公安の指定するカリキュラムから外れた範囲まで教えることを求められていない。

 

教習の時間及び方法は「指定自動車教習所等の教習の基準の細目に関する規則」(国家公安委員会規則第十三号)などで定められている。この関連法令、及び各公安委員会の指導の元で、全国の指定自動車教習所は同一の基準でカリキュラムを組んでいる。

引用:自動車教習所 - Wikipedia

 

つまるところ、自動車学校はいわゆるお役所仕事と同様である。仮に自動車学校の職員が、カリキュラム外のことに関する教育の必要性を感じていたとしても、指示・指定されたカリキュラムから逸脱した内容を教えるわけにはいかないのだ。

 

それなら、大元の国家公安委員会センパイが、教えることをもうちょっと現代に適応する形に変えるなり、もう少し実用的なことを教える方向に切り替えた方が良いのではないだろうか。

 

どうせ煽り運転の概要とか教えてないんでしょ、知らないけどさ。煽り運転を知らない人が煽られたって何も気づかないし、知らないんじゃ退きようもなくて、そんなんじゃ煽る人はブチ切れて信号待ちの時に降りてくるハメになる。教習所は標識とラインの色だけ教えていれば良いってものじゃないと思うが。

 

 

いずれにせよ、油種や曇り解消といった、重大なトラブルの原因たり得る知識は、自動車学校の指導要領───カリキュラムへ盛り込んだ方が良いと思うわけだが、はたしてそんな日はやってくるのだろうか。 各々で勝手に覚えるという前提で、形式的な知識だけを授けて免許を与える方式をもう少し改めてみても良いと思うのは私だけなのだろうか。

 

 

むろん、私の発言に同意しないであろう人が当たり前のようにいることはもちろん知っている。暗黙の了解とは言え、公的なルールとして明文化されているものでもないし、下手をすれば地域によって行動のニュアンスが異なるかもしれない。所詮は暗黙の了解止まりでしかないものを、公的機関で教えるわけにもいかないのだろう。

 

けれども、絶対的な公的ルール扱いでの周知とまではいかないまでも、『この行為はときにこうした使われ方をすることがあります』などといった紹介くらいはしても良いのではないだろうか。予備知識として知っているか否かというのではまるで違ってくるし、初めてそうしたシーンに遭遇した時の対応も変わってくる。

 

例えば、高速で渋滞に遭遇して最後尾でハザードを点灯させない行為は非常に危険だ。無知ゆえに人が死ぬ。公的ルールではないにせよ、そのあたりに関する知識を与え、円滑で安全なコミュニケーションを促進するに越したことはないと、私は強くそう思う。